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紹介記事 2003年7月


  (日本小売業協会 「RETAIL SHOP 平成15年7月夏号 VOL.70」より)
 出版業界の販売特性から生まれた無伝票共同返品物流システム
 出版共同流通株式会社蓮田センター

高畑富士雄
丸天運送株式会社坂戸営業所所長

今回の視察先の一つである出版共同流通株式会社は、出版取次5社(日本出版販売・大阪屋・栗田出版販売・日教販・太洋社)と出版社2社(講談社・小学館)によって、2002年に設立された会社で、その目的は、書籍・雑誌など出版物の流通に係わる書店・取次・出版社間の返品物流を一層効率化することである。また、雑誌の故紙化・再資源化によるリサイクルの推進をも図っている。

返品・売上データの一元体制

当センターでは、「高度かつ透明性の高い無伝票返品システム」の導入により、書店店頭での返品作業を飛躍的に軽減することに成功している。また、「単店・単品別データの収集」により送品・売上データとの一元管理体制が構築され、「業界SCM」の布石ともなっている。
このような「共に手を携えての業界改革」が実現したのは、一つは出版業界の特性から生まれた返品率の高さ(約30%)にあるのではないかと思われる。出版業界では販売委託制度が採られており、書店は委託販売期間内であれば売れ残った出版物を取次経由で出版社に返却することができるシステムになっているからである。また、取次各社にとっても、全数売れても書籍等単価の7%という売上の中から返品処理をするため、極力費用を抑えたいという事情がある。このような背景が画期的な業界改革の動きにつながったのであろう。

蒲田センター・FAシステムの仕組み

当センターは、1日22時間体制で、6万5000個、220万冊を処理する能力を持っており、IT技術を駆使した五つのシステムから成り立っている。
返品されてきた出版物の詰まった段ボールは、まず最初の関所である着荷管理システム(7台)で照合され、次に毎分90mで移動する供給ソーターで56カ所のシュートに供給される。その後に待っているのは解荷システム(28台)で、ここで初めて人の手で段ボールが開梱される。開梱作業者の手元が空くと自動的に供給されるシステムになっており、まさに椀子そば状態である。その後、ゲート式ストレージにて商品とデータの一元管理が行われる。次のセクションは自動検品仕分けシステムで、毎時6600冊のスピードで1冊1冊を切り出す装置が目を引く。ここで版元返品仕分け処理が行われる。最後がベーリングシステム(5台)で、紙質ごと、版元ごとに分類された返品の80〜90%がプレス加工され、製紙リサイクルに適したペール状に加工される。ちなみに出版故紙は回収故紙より良質とされ、その出版故紙が紙質ごとに分類されることから最小限の薬剤で済んでいる。
その他、この仕組みの中で故紙化できないものと、ムック誌(業界用語)と呼ばれる、いわゆる料理といったような流行にあまり左右されず再販できるものが手作業で分類される。
このように処理されたさまざまなデータは瞬時に取次各社へ転送され、書店への入帳スピードが大幅に短縮され、出版社の営業戦略、取次の効率販売へとつながっている

所感

返品をシステム化した出版共同流通株式会社蒲田センターに、新鮮なおもしろさと可能性を感じました。もちろん、ここまでハード・ソフトをくみ上げたことも大変だったと推測されますが、それ以前に、無伝票返品システムは取引先との信頼関係の上に成り立っているため、そのシステムに対する理解と信用を得る作業にも大変ご苦労されたのではと感じました。
今回の返品物流システムは、果たして出版業界だけに必要とされるものなのか、と考えてみるのもおもしろいのではないかと思う次第です。

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